え ん

人生は連鎖する、

友人へ


この世間のありとあらゆる現実を知ったような顔して囓ったりんごのパソコンとにらめっこしながら一生懸命読めるけど書けない漢字や聡明そうに聞こえる英単語を使おうとしているみたいだけどさ、君も私もこの世界中に溢れる固有名詞なんて何も知らないに等しいじゃないか。自立・自律した人間になることを自分を含めた全ての他人に要求する前に、その自立・自律の定義と意義を明確に聞かせてみてよ。その行為の理由が義務だからと抛つその言葉の意味、要は思考を放棄したということだと捉えて間違いではなさそうだね。君が君の世界で君らしく君として君自身の君の生き方を尊重しているように、私も彼もあの人もそれぞれのリズムやテンポやペースで精一杯前に進もうと踠いてるよ。生きてるよ。君が知らない歴史が君の隣でいつも、いつも、いつも、叫んでいるよ。そのけたたましい無音や沈黙し続ける騒音に耳を傾けることをしないうちは、社会を語る権利なんて無いと思うよ。君は、君の理想から言えば程遠くずっこけ続けてきた私の各々のパーツをとても軽蔑しているようだけど、私にとってこのガラクタたちは唯一無二の大切な大切な宝物だ。君にかけがえのない宝物があるように、私も君の知らない私の過去や旧人たちとの思い出は今も私の一部として生き続けている。目には見えない背景の存在を認めない君が謳う哲学は、私にはあまり有益ではないみたいだ。ごめんよ。私は君のことが嫌いなわけじゃないんだ。君の意見に賛同できないだけだ。またいつか話しましょう。